「余命4年」私の人生

明日やろうはバカやろう!

★私、失敗しました!(ツアー参加者全員の航空券を紛失)

前回のあらすじです。

かつて、旅行会社の社員だった私。

海外添乗で、参加者全員の航空券を紛失。

地方の営業所(新潟市)へ飛ばされてしまいました。

 

転勤を命じられ、初出勤の時

営業所があるであろう場所を前に私は

頭から血の気が引いてしまうほどの衝撃を覚えました。

 

(営業所がない!!!)

 

目の前に立ちはだかるのは「居酒屋」のみ。

私は、住所を何度も穴が開くほど確認しました。

 

(ついに閉鎖されてしまったのか?)

 

毎年、大赤字を垂れ流す営業所と聞いてはいたので、ありえない話ではない。

良く見ると2階へ続くであろう狭い階段があるので、

恐る恐る上がってみると、パーマ屋があるのみだった。

 

やってるか?やってないか?わからない場末感漂う店。

(私が客なら絶対入らないな)と思いつつ引き返す。

 

新潟市日本海側最大の政令指定都市

営業所は新潟駅から歩いて3分と聞いていた。

さぞかしスタイリッシュな建物と想像していたのだが雑居ビルだったとは?

しかも、営業所っぽいものは何もみあたらない。

 

スーツ姿で、ウロウロしているのも怪しいので

もう一度階段を駆け上がり、思い切ってそのパーマ屋に入って聞いてみた。

 

「〇〇旅行社さんならこの奥よ!」

 

とスナックのママさん風の店主がハサミとブラシを持ちつつ

顎をしやくりあげるように教えてくれた。

 

(以外と感じの良いママさんだった。どうでもいいことだが・・・)

 

通路の奥はダンボールまみれで薄暗くて気が付かなかったが、

確かに営業所は存在していた。

 

お客様に夢を売る商売である旅行代理店とは程遠い店舗だった。

あやしい「秘密結社」の雰囲気を醸し出している。

 

ドアには小さい窓が付いていて、

10年以上前の観光ポスターが貼ってあり、室内が見えない。

開けるのも勇気がいる。

 

社員の私でさえ、そう思うのだから、

お客様が来店するなんて、とんでも無いことだと思う。

さすが、全国約100営業所中、日本一の赤字営業所だけの風格?がある。

 

ともあれ、断崖絶壁でぶらさがり、ドン底の私には、

この営業所で実績を上げるしか道はない。

 

( 会社を首にならずに済んだだけでもありがたいと思わなきゃな!

まずは、この営業所の人達と良好な関係を築かねば!)と、

人見知りの私が、最大限元気に!大声で!笑顔で!

勢いよくドアを開けて挨拶しようと・・・

 

「こんにちは!よ・ろし・く・・・おねが・い・・・」

 

その瞬間笑顔が凍りつき、引きつった顔になった

 

「・・・・・・」

 

営業所内には、おじいちゃんが一人ポツンと 

鎮座していたのだから・・・

 

(このお話しは次回に続きます)